雨と花
台風近づき雨が降る土曜の夕べ。煙たさと気だるさ、それと見も知らぬ群衆の臭いが私を憂いに導く。そんな灰色の世界のビルの一角に一輪のチューベローズの花が咲いている。去年と同じように。
・・・
雨 し ず く
心 染 み る は
水 無 月 の
華 の 残 り 香
我 を 酔 わ し む
・・・
美しき花を見つけることは大変困難である。だからこそ良き花を見つけ、蜜や果実を味わい、さらには雅な香りを楽しめることが出来る花であれば、それは大変幸福なことである。
花はその場に咲いているときが最も美しいとはよく言う。紡いで自分のものにしようということは非常に愚かなことであろう。小生に出来る事といえば、たまに咲いている地を訪ね、その花の薫りを楽しみ癒されることである。
華を楽しみ一千閣でハリガネを堪能し付近のコンビニでthePeaceを吹かし、再びけだるい世界に戻ったことに憂いを感じ紫煙とともに湿気みちる虚空へ吐き出す。
「外は今日も雨…か…」
私の経験則では、雨の日には素敵なことが起こる。そんな経験則をふと思い出した。
Fin